ニュースの真相
ブッシュ大統領の過去を暴く報道に関する一部始終を映画化したものです。実際の時代背景と照らし合わせながら、映画の内容について記載。不祥事の真相を記載しました。何を信じればいいのかわからなくなります。この映画さえも偏った見方ではないかと思ってしまうのですが、思い込みや結論ありきは、真実が見えなくなってしまうということは理解できました。
これが本当ならば、大統領や政治の力は恐ろしいと思いました。
ジョージ・W・ブッシュ
第43第アメリカ合衆国大統領(2001年~2009年)、父は第41代アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュである。
1968年、ベトナム戦闘中、テキサス空軍州兵となる。1972年、共和党の選挙活動に取り組むためにアラバマ空軍州兵に転任する。1973年、ハーバードビジネススクールに通い、MBAを取得後、テキサスの石油工業会社に入社。
下院議員選挙落選後、テキサス・レンジャーズを共同所有など実業家として成功し、1994年テキサス知事となる。
2001年同時多発テロ後、アフガン侵攻、2003年イラク侵攻、2004年にはジョン・ケリーに差をつけて、大統領に再選される。
60 Minutes
1968年からアメリカCBSテレビが放送するドキュメンタリーテレビ番組。60 Minutesの姉妹番組である「60Minutes II」は1999年~2005年9月まで放送された。放送終了の理由は、まさにこの映画で描かれている事実が影響している。
アンドルー・ヘイワードはCBSニュース社長。
J・ハワードとM・マーフィーは「60Minutes II」のプロデューサー。J・ハワードとM・マーフィーはこの不祥事の後、辞職している。
メアリー・メイプス
アメリカのジャーナリストで、CBSニュースのプロデューサー。エミー賞2回、アブグレイブ刑務所の捕虜虐待を暴いた。「60 Minutes」でブッシュ大統領のネタを取り上げようとしていた。
2004年アブグレイブ刑務所捕虜虐待事件(CBSで報道)
イラク人捕虜暴行でアメリカ軍6人が起訴され、指揮系統の上層部も処分を受け、イラク合同作戦本部キミット准将が記者会見を行う。
ダン・ラザー
2004年までのダン・ラザーの輝かしい経歴は以下の通りである。
1963年、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を世界でいち早くスクープ。
1966年、ホワイトハウス担当記者となる。
1981年、CBSイブニングニュースのアンカーマンとなる。
2003年、サダム・フセインの単独インタビューに成功する。
2004年、ブッシュ大統領の軍歴詐欺をスクープ。
ブッシュに関する情報を得るーブッシュとビンラディン
2004年、ヒューストンの実業家ビル・ホワイト氏によると、ビンラディンの親族がブッシュの石油会社「アルブスト」の出資者だという情報を掴む。
2000年のベン・バーンズ(テキサスの政治家)の話によると、1968年、ベトナム戦争当時、州議会議長だったベン・バーンズの元に石油業界の大物S・アジャーが、「ブッシュの息子を空軍州兵のパイロットにしてくれ」と言ってきたと。バーンズは将軍に口利き、ブッシュを入隊させた。そこで、ブッシュはジェームズ・バスと知り合う。
除隊後、ジェームズ・バスはビンラディンの会社で財務責任者に抜擢される。ブッシュは「アルプスト」を立ち上げ、バスは「アルプスト」に5万ドル出資した。その金の出どころはビンラディンだったと。
取材チーム
ルーシー・スポット
元CBSの記者でジャーナリズム学の教授。
マイク・スミス
M・アイヴィンスの弟子で2000年に調査の協力を得た人物。ピープル紙の遊軍記者。
ロジャー・チャールズ中佐
「アブグレイブ」のscoopの協力者。
ブッシュの過去を洗い直す
この内容については2000年に一度取材をしていた。
- 1968年5月はブッシュは空軍州兵に入隊。記録ではヒューストで成績優秀なパイロットだと。
- 1972年に定期健康診断を拒み飛行停止処分になる。
- アラバマに転属。友人の上院議員選挙の手伝いをする。
- 1972年5月~1973年5月までブッシュのポイントが記載されていない(ポイントがないということは一度も基地に姿を現していないということ)
- 1973年、早期除隊しハーバードビジネススクールに通う。
メアリーらは、リンダ・スター(反ブッシュのサイト)でブッシュの過去に関する文書がリークされることを知り、その情報源と会う。情報源は表舞台に立たないことを条件にメアリーらに文書を見せる。
2000年にこの事実が放送されなかった理由
メアリーの母が死んだために、番組が完成しないままブッシュが大統領選(2000年)に勝利し、放送されなかった。もし放送されていたら、アル・ゴアが大統領だったかもしれない。
文書の内容
情報源はビル・バーケット。ビル・バーケットが文書(コピー)を持っていた。ビル・バーケットはケリー陣営に紹介を頼む引き換えにメアリーに文書を渡した。その文書は以下である。
キリアン中佐のサインがある飛行停止処分の文書(コーピー、原文はない)
- ブッシュは飛行訓練に参加しなかったという内容。
キリアン中佐の上官ホッジス長官がブッシュを優遇していた。ブッシュに関する文書は破棄されているはずだが、政治の駆け引きに巻き込まれた自分を守ろうとして、この文書をキリアン中佐は残していたのだろと予測された。
1973年6月24日 ジョージ・W・ブッシュ中尉について ブッシュ中佐の今月の評価をしろと命令があり、評価の担当官はハリス中佐です。ハリス中佐も私もブッシュ中尉の評価はできません。中尉は1972年4月から訓練に参加してないのです。どう対処すべきかご指示をお願いします。 |
1973年8月18日 ホッジスにスタウトから圧力が強まっているブッシュの件だが、私も仕事に支障が出ている。ブッシュの訓練報告について、ハリスから連絡があった。スタウトが「ブッシュに甘くしろ」と言っているらしいが、ブッシュは不在で評価できない。ハリスに上層部から電話があり、私もハリスも日付の操作はするが、評価はしない。 |
文書の鑑定
エミリー・ウィル(文書鑑定専門家)
- 文書が書かれた当時ブッシュはアラバマに居たはずだと相違点を見つける。
- 偽造かどうかはインクや紙がない調べることはできない。
- 入手経路を確かめないと、信憑性はわからない。
- 当時のタイプライターになかった肩文字が使われている。
マーセル・マトリー(文書鑑定専門家)
- キリアン中佐の筆跡であることは間違いないと。
- メモの内容にストレスを感じていたことがキリアン中佐のサインの筆跡でわかる。
文書鑑定専門家ジム・ピアースと文書鑑定専門家リンダもマーセル・マトリーの鑑定に同意。文書の日付と内容は公式記録と一致する。エミリー・ウィルは文書の肩文字「th」に疑問があると、70年代の軍隊のタイプライターには「th」を付ける機能がなかった。しかし、マーセル・マトリーはそれは入手は可能ということで、エミリーも肩文字について納得する。
文書の入手経路
ビル・バーケットはジョージ・コンより文書を入手したと話す。
文章の内容を裏付ける人物を探す
- キリアン中佐の上官スタウト将軍はこの件に関して拒否
ベン・バーンズ
ベン・バーンズの「自分がブッシュを入隊させた」と語る映像が残っていたことから、ベン・バーンズの協力を得ることとなる。
ロバート・ホッジス
電話で内容を確認した結果、この文書の内容について覚えはあると認める。
放送の内容
プライムタイム担当執行役員ベッツィ・ウエストが放送の内容についてチェックした。B・ウエストはこの後辞職する。
放送の内容は以下の2点。文書鑑定専門家マーセル・マトリーのサインの鑑定、「キリアン中佐の筆跡であることは間違いない」というインタビューは時間の都合上カットされた。
- ベン・バーンズへのインタビュー
- 文書関連
放送後
文書はワードで打たれた偽造である
保守派サイトで「文書はワードで打たれたものだ」と。そのブログの内容は以下である。
- フォントは可変幅で、書体は「パラティーノ」か「タイムズ・ニューロマン」。
- 1973年のタイプライターは等幅フォントで、可変幅フォントはパソコン登場までなかった。それ以前は植字機が必要だったが、文書には植字機は使用されていない。
従って、メモは偽造である。
肩文字「th」の件
ブローガーの間で肩文字の件も指摘された。
ABC放送
ABC「ナイトライン」が事実を追っていた。
- 文書の信憑性に欠ける。
- 文書はタイプライターではなく、コンピューターで打たれた文字である。
- 肩文字thは打てない。
ABCは文書鑑定専門家と接触、エミリーとリンダは「本物とは言っていない」と語る。
放送の内容について調査
ギル・シュワルッツ広報担当による聞き取り調査
- 文書は4人の専門家が調べた。
- 元州本部のロバート・ストロングも文書は「当時州兵内で使っていた言葉使いだ」と。
- ロバート・ホッジスも内容を認めている。
そこで、以下の2点の調査を行うこととした。
- 事実の洗い直し
- 公式記録から肩文字「th」を探す。
調査の結果
スタウト将軍に関する矛盾点
文書の日付である1973年8月18日には、スタウト将軍は退役していた。スタウト将軍は1972年に退役。退役後にも影響力はあったのかどうか。
肩文字「th」
1968年の公式文書の中に「th」を見つける。
書体「タイムズ・ニューロマン」について
タイムズ・ニューロマンの権利元に確認したところ、1931年から使われている文字であることがわかった。
調査後の放送
以下の2点とマーセル・マトリーのインタビューが放送された。
- 1968年の公的文書「th」があった件
- 1931年から書体は使われていた件
サインの鑑定の結果を放送
文書鑑定専門家マーセル・マトリーのサインの鑑定、「キリアン中佐の筆跡であることは間違いない」というインタビューが放送された。前回の放送でカットされた部分である。
ロバート・ホッジス
ワシントン・ポスト紙がロバート・ホッジスがCBSの切り札だと書いていることに憤慨。この件に関しては誰も語ろうとしなかったことで、やっと当時を知る裏付けできる人物がロバート・ホッジスであったが、ワシントン・ポスト紙に知られたことで憤慨する。
文書は偽物だ
電話で確認した際には内容を認めたが、この文書は偽物だと言う。その根拠は、キリアンの遺族が偽物だと話していると。
- 内容に覚えはあるが、実際にメモを見たわけではないと言い、電話で確認した内容を撤回。
文書の内容には関わりたくない
文書よりも内容が事実か否かを問うが、ロバート・ホッジスは「関与したくない」と言う。
情報源 ビル・バーケット
CBSの上層部は情報源と話をしたいと言ってきた。しかし、情報源は表に出ないことを約束に文書を渡したのであった。CBSの社長ヘイワードが情報源であるビル・バーケットと電話で話す。
文書の入手経路の事実
ジョージ・コンから受け取ったと言う話は嘘。ルーシー・ラミレスが仲介役で文書を受け取った。文書をコピーしたら指紋・DNAを残さないようにするためオリジナル(オリジナルもコピー)は燃やせとのことで、その通りにした。
メモの出どころは口外しないとうい約束だったから、実際の入手経路は話さなかった。
ビル・バーケット
ビル・バーケットにTVカメラの前で事実を話すよに説得する。
インタビューの内容
- 今回の動機
- 政治傾向
- 大統領観
- 嘘をついた理由
文書をくれた人たちを守るために文書の出どころは嘘をついた。メモの内容は真実だと信じている。
インタビュー後のビル・バーケットの奥さんの話
「嘘をついた」と何度も言わせた。CBSは自分たちの過ちを夫に背負わせて幕を引くつもりだと。
CBS 独立調査委員会を設立
CBSは独立調査委員会を設立し番組の制作過程を調べる。ダン・ラザーは、イブニングニュースでそのことを告知し、文書の信憑性を保証できなくなったと視聴者に謝罪する。
カートパトリック&ロックハート法律事務所
調査委員会を主導。
企業の内部調査が専門の法律事務所で、ブッシュ大統領がワールドコム潰しに使った事務所。
K&Lのディック・ソーンバーグ
調査委員会の共同議長。
- 元ペンシルベニア州知事
- ニクソン政権下で連邦検事に任命
- 下院議員選に2度出馬し、民主党候補に敗北。選挙参謀はカール・ローヴ。
- 1988年~1991年司法長官、司法長官に任命したのジョージ・H・W・ブッシュであった。
※カール・ローヴはブッシュの参謀であった。
調査の対象
- ダン・ラザー
- マイク・スミス
- ルーシー・スポット
- ロジャー・チャールズ中佐
- メアリー・メイプス
ビル・バーケットへの文書の見返り
USAトゥディ紙の質問内容
「文書の見返りにビル・バーケットをケリー選挙対策本部に紹介したか?」
メアリー・メイプスの答え
「ビル・バーケットにケリー選挙対策本部の電話番号を教えた」
バイアコム
バイアコムはCBSの親会社で、2005年にCBSコーポレーションと社名が変わる。
共和党は規制緩和と税制優遇措置を進めてきた。2003年、FCC(連邦通信委員会)はメディア所有規制を緩和し、一社の全国視聴者占有率を35%から45%に引き上げるようにした。
国内市場の45%の占有に関し国民の反対があり、2003年下院で「修正案」が可決される。しかしメディアの所有規制の緩和を支持するブッシュ大統領は、FCC の改定案を妨害する法案は拒否権で潰すと議会に脅しをかける。
2003年下院で、全国視聴者占有率を35%にとどめる法案が可決され、ブッシュ大統領と議会の間で妥協案を模索。39%と決着する。
39%に決着
CBS と FOX の二つのネットワーク会社は全国視聴者占有率が 35%を超えて約 39%に到達しており、そのままだと過剰分の放送局を手放すしかない状態だったからだ。その様な事態を避けるために、大統領と議会の合意で全国視聴者占有率は 39%に法律で定められることになった。よって CBS と FOX は放送局を手放さないで済む代わりに、さらなる拡大は凍結されるという形で妥協が成立した。
アブグレイブやブッシュの軍歴問題は共和党にとって大統領選にマイナスとなる。このような報道はせず、選挙戦に差し障るものは控えるべきであるとした。
弁護士R・ハイビー
ジャーナリズム論と仕事を守るために、メアリー・メイプスは弁護士R・ハイビーを雇う。
メアリー・メイプスの内部調査
内部調査はメールの検証などが行われ、結果報告は大統領選の後にとなる。
ニュース番組の始まりとダンの降板
ニュース番組の始まり
政府は放送局に電波の使用を国民の利益のために使うという条件付きで認めた。それがニュースだった。ニュースを伝えるのは義務であり信頼だった。1968年60minutesが始まった当初は視聴率が高く、人々はニュースに関心を持ち熱心に見ていた。ニュースが金になることがわかり、イブニングニュース、モーニングショーに繋がった。
今ではバラエティ番組の方が広告料が上がる。ニュースは独自取材はなくなり、番組で原稿を読むだけになるだろう。
ダン・ラザーは、大統領就任後にアンカーを降板する。
真相の結末
制作チームについて
- メアリー・メイプスは解雇処。
- マイク・スミス、ルーシー・スポット、ロジャー・チャールズ中佐も解雇処。
番組について
- 調査委員会は「番組に政治的偏向はない」と結論。
その他の関係者
- J・ハワード、M・マーフィー、B・ウエストは辞職。
- ダン・ラザーは政権の配慮で番組を外されたと局を訴えるが、NY州の控訴審で棄却された。
CBSはメアリー・メイプスを解雇後、「アブグレイブ報道」でピーボディ賞を受賞。